田中雅仁は最大のバスーン・ヴィルテュオーソである。イサン・ユンの作品における、極東の瞑想的な精神世界を再現する上では、いうまでもなく最高の演奏家であるが、彼の豊かな音楽性と、息を呑むような超絶技巧は、東洋の作品にのみでなく、サンサーンスやヒンデミットのソナタ、また19世紀のロマンティックな作品、そしてフルートなどのトランスクリプションの演奏に際しても十分に発揮されている。どのような作品にも対応する、彼の柔軟な感性とインテリジェンスには驚嘆させられる。 (Fono Forum 1992年) ドイツ