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ダンツィ木管クインテットの経験は貴重だった!
| 田中 | ポラードさんは、大変有名な木管五重奏団『ダンツィ・クインテット』のメンパーとしても活躍されましたね。 |
| ポラード |
ええ。ダンツィ・クインテットは1956年に結成され、その後23年間も続きました。この間に初演した曲は数え切れません。また実にいろんな国を旅しました。残念ながら日本を訪れる機全はあリませんでしたが。 |
バロック・バスーンは音楽の本質に引き戻してくれる
| 田中 | ポラードさんはモダンのバスーン以外にバロック・バスーンも演奏していらっしゃる。のみならず、御自分でパロック・バスーンの製作もされる。モダンとバロック、この二つの比較について伺いたいのですが、まず、二つのバスーンを吹くことに何かアドヴァンテージをお認めになリますか? |
| ポラード | モダン・バスーンもバロック・バスーンも、それぞれ良い面をもっています。モダンは大変クリアで安定した音が得られる。しかしこれは言い方を換えれば、柔軟性がないという言い方も出来ますね。これに対してバロック・バスーンは、大変に人間の肉声に近い。それぞれの音を高くも低くも吹くことが出来るという、非常にフレクシプルなイントネイションをもっています。バロックに比べればこの点ではモダンは柔軟性が乏しいと一言えます。 例えば、1～2週問、バロック・バスーンに集中して、あるいはその楽器で仕事を続けた後にモダン・バスーンに移ってみると、大変失望してしまうことがよくあるんですよ。と言うのも、表現の幅（特にイントネイション）がモダンの場合はパロックほど自由が効かず、音程上の制約が非常に大きく感じられてしまうからなんです。逆に、モダンからバロックに移った時もまた大変失望してしまう。なぜなら、バロックの方は音をつくり出すために、モダンよりも大変大きな努力を払わなければなりませんからね。弦楽器で言うところの「正しいポジション」を見つけなければなりません。ここからまずスタートしなければいけない、というの。が、バロックでは大きな障害です。 今はオーケストラの仕事が忙しく、バロック・バスーンを吹くことを止めていますが、その理由は、レコーディング等でパロックに集中した後に突然モダンに戻ると、フィンガリングが混乱してしまうんです。オケでこの事態に陥るのは大変危険なので、オケが忙しい時はバロックを吹かないようにしています。 このようにモダンとバロックを両立させることは難しい。しかし私は、あえて、すべてのバスーン奏者にバロック・バスーンを試してみられることを推めたいですね。なぜなら、バロック・バスーンは、音楽のより本質的なものに我々を引き戻してくれる可能性を秘めているからなんです。それに比べてモダンの方は実に機械的です。もしバロック・バスーンを始めたいという人がいたら、まず最初に大切なことは良い楽器を持つということ。バロック・バスーンでは、楽器の良し悪しがモダン以上に大きな影響を及ぽします。特にボーカルは重要で、その楽器用に作られたものでなければなりません。逆に言えば、バロック・バスーンの一本一本は、それ固有のボーカルを要求する、ということですね。 |
